AI三銃士 その①

仕事で目にする、予測AI、生成AI、因果AIについて日々の雑感です。今日は予測AIについて。

予測AI:Predictive AI

AIの仕組み:観測された過去データへのフィッティング(機械学習という呼称の最適化)
成功の条件:予測対象yに対してxが因果関係を持ち、かつ、その関係性が一定期間持続(社会科学、特に金融市場では稀)
失敗の事例:数多くあり過ぎて書ききれない

  1. 相関=因果という信仰(著名な金融研究者によれば、ここ数十年の資産運用系の金融論文のほとんどがコレ)

  2. y(t+dt), x(t)でdtが限りなくゼロかマイナスになっている(dt=0: 実行不可能解、dt<0: 未来情報漏洩=ズル)

  3. xが操作・介入できない(so what問題)

  4. さらに進化して、y = y(I know!! 問題)

<ユースケース検討時の分類>
① yがビジネス上のベネフィットと直接リンクしており、xが自ら介入・操作できる変数となっている問題になっていれば、単純な最適化問題であり、それこそ機械学習(=最適化アルゴリズム)が最も真価が発揮される領域。残念ながらそんなに都合よく見つからない。

② xが操作できなくても、予測後にyの実現値が観測される前に、yの予測結果に基づき行動可能でベネフィットが得られる問題で、需要予想にもとづく仕入れ最適化や株価予想にもとづく投資戦略決定など、ユースケースが最も多い領域。反面、失敗事例も多数。

③y, xが同タイミングでもxを予測することで②の問題として定義できる領域。(天気予報など一定の予測精度が担保されている場合には有効)

④ y(の変化)のxによる要因分解。気づきが得られる可能性が少しだけある(ただし、因果は考慮されない)

ハイレベルにはこういった基礎の基礎を念頭におきながら、是々非々で検討を行っています。
こういったアタリマエのことが置き去りにしたまま進めていって成功した事例をまだ見たことがないです。
データ・エンジニア(≠データ・サイエンティスト)としてAIのコンサルティングのお仕事をさせて頂いておきながらなんですが、
「予測AIを使わないと解決できない問題はない」という信条のもと、何故AIでやるのか、期待値をどう設定するのが妥当なのか、という点をいつも議論させて頂いています。